「矢車会」 中村富十郎 傘寿記念
2009年 07月 08日
行ってきました♪
富十郎さんは、歌舞伎役者さんの中でも、舞踊(日本舞踊)に力を入れられている
役者さん。
舞踊がうまいのと、そうでないのとでは、たとえ舞踊ではなく、芝居をしても
ちょっとした動作や型が違いますっ!!
そんなわけで、昔から長年歌舞伎好きの方や日本舞踊家には大ファンになって
いらっしゃる方が多いのです♪♪
しかも今回は、ご子息様と大物を共演なさる会なのです。
ご存知の方も多いとは思いますが、御子息はまだ小学生。いくら親子といえど、
歌舞伎の大物で共演、というのはだいぶ先のことになり、富十郎さん的にも難しく
なります。
さらに、近年足を悪くなさっているご様子。
富十郎さんが、最初で最後の気持ちを持たれて、ご自分の会でご子息鷹之資
さんと共演されることを決められた会なのです。
その意気込みを組まれた、歌舞伎界の大御所、スター役者さんが脇を務める
すばらしい舞台。
~昼の部~
「壽矢車三番叟」 中村歌昇、中村錦之助
「雪 傾 城」 中村 芝翫、渡邊愛子(富十郎さんの御息女)
「勧進帳」 中村富十郎、鷹之資
市川染五郎、尾上松緑、尾上右近、市川段四郎
中村吉右衛門
「勧進帳」では、歌舞伎の本衣装ではなく、能装束のような形でした。
お能の世界では弁慶と義経は本当の親子で演じるのが習いになっているよう
ですので、その理由と、富十郎さんのお体のことを考えられたのでしょうか?
歌舞伎ファンとしては少し残念な気もしました。
しかし、富十郎の弁慶と富樫の吉右衛門さんとの問答は、すごい気迫で、
見る人をぐいっと引きつけて離さない迫力がありました。
舞台上で動き回るわけでもなく、派手な衣装もないのに、富樫とのセリフの
やり取りのみで、義経の素性を隠し、この場をやり過ごそうとする心情が
つたわり、客席にまで緊迫した空気がただよってきました。
ただ、後半、富樫が引っ込むと気が緩まれたのでしょうか、足が痛くなってしまった
のが目に見えてわかるようになり、強く踏めなくなられたようです。
ですが義経(鷹之資さん)を思い、庇う様によりそう弁慶(富十郎さん)は
役と、実生活が一緒になったようで、義経を思う気持ちがひしひしと伝わって
きました。
最後、花道からのひっこみも、残念ながら六法は踏めませんでしたが、
(能では六法の型を一度見せてから橋掛りを通って引っ込むので、その
形でされたのかも?)
花道から客席を見上げた目には涙を浮かべられており、この会に向けた思い、
鷹之資さんへの思いが込められていました。
そういう話にすっごく弱い私。
御子息との「勧進帳」を観ながら、(ぜんぜん規模は違いますが)私の行く末を
心にかけ、心配してくれていた祖母の気持ちを思って、ボロボロ泣いてしまいました。
孝行したい時に親はなし。
どうして、そうなってしまうんでしょう・・。
せめて私にできることは、鷹之資さんに負けないよう精進すること。
この気持ち、決して忘れないようにしなければ。
~夜の部~
「寿競べ」 中村梅玉、中村魁春
「お祭り」 市川染五郎、尾上松緑
中村福助
「連獅子」 中村富十郎、鷹之資
中村橋之助、中村勘三郎
by t0k0san | 2009-07-08 10:21 | お芝居、コンサート