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名古屋平成中村座 <法界坊編>   

2009年 09月 23日

今、(というかちょっと前から)名古屋で話題と言えば「中村座」!
浅草では観たけど、名古屋でもとばかりに、行ってきました。なんとこの一か月
で4回も行く予定にしています(笑)


会場は、名古屋城内二の丸広場。
お城の中()です。

能や狂言ならいざ知らず、歌舞伎を城内で公演するとは、江戸時代なら打ち首もの
ですよ。 時代は変わるんですね。それとも日本が自由で平等の国なのかしら?
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場内はすべて撮影禁止ですから、パンフレットからの写真です。
客席は広すぎず、舞台も低いので、役者さんとの距離が近い上に、提灯や燭台風の
明かりが昔の芝居小屋の雰囲気を醸し出しています♪
名古屋平成中村座 <法界坊編>_a0091907_14302676.jpg

名古屋平成中村座 <法界坊編>_a0091907_14511186.jpg


お昼の部はごぞんじ! 「法界坊」
 飲む、盗む、犯す、殺すは平気の破壊僧、法界坊が主役の話ですが、
串田演出は歌舞伎を観慣れていない方にも分かりやすく面白い演出になって
います。


見どころ満載の芝居です。
勘三郎演ずる法界坊のキャラクターと、橋之介らとのアドリブのやり取り、あらゆる
場面に「笑い」をこれでもかといれる演出・・この演出は過剰で鼻につき、私には
白けてしまいましたが、後半、このしつこいほどの「笑いの演出」が生きてきます。
というのも、観客が安心して笑い、法界坊を馬鹿にしながらも愛しいキャラクター
として芝居が進んでいくうちに、気を抜いている間に「悪党」部分が出てくるからです。
この変化は「よく知った人がまさかここまで非道なことをするなんて」と思うような怖さに
通じてきます。この観客の心情を良く分かった上での演出はさすが!でした。


大喜利には従来の「法界坊」に舞踊の「双面」を付け足し、ストーリーに深みを与える
とともに、この「中村座」で、歌舞伎観賞が初めての方にも「双面」の存在を知って
もらえる素敵な演出でした。さらに、クライマックスは背景がOPENになり名古屋城
の借景をバックにした舞台になります。
今まで小屋の中のセットの世界で進む芝居を観ていたのに、そこに自然が入ると、
さらに幽玄な、真と嘘が混ざった夢の中のような世界観になるのがすばらしい!!



従来の歌舞伎を愛する方々の中には、眉をひそめられる方もいらっしゃるでしょうが、
あくまでも、歌舞伎は江戸時代から続いている庶民の娯楽。
そもそもつらい毎日の中、一時の楽しみの為に、なけなしの銭を払って小屋に行って
いたそうですから、面白くなきゃとてつもない、ブーイングだったでしょうね。
そしてその中でもまれて今の形に残っているんだと思います。その頃の雰囲気が
時代が変わっても「平成中村座」にありました。
文句なく、楽しかった。また明日から頑張れると思えた。
それが大事ですよね♪




~これが「法界坊」のあらすじ~

御家再興を願う吉田家の嫡子「松若」(勘太郎)は江戸へ下り、永楽屋の手代となって
再興のカギとなる、「鯉魚の一軸」を探しています。 そこで若松と恋仲になった「お組
(扇雀)に横恋慕した「法界坊」が、お組と一軸を自分の物にしようとします。

そこに京から、幼いころに言い交わした松若の許嫁「野分姫」が若松を追って
江戸にやってきます。
邪魔になる人々を殺していく法界坊。野分姫もだまし殺されてしまいます。
やがて「甚三郎」によって命を落とす法界坊ですが、法界坊の執念は残ったまま。
法界坊にだまされ、若松に裏切られたと思いこみながら死んでいった野分姫も
怨念となって残っています。

大喜利は舞踊の「双面」が付け足されています。(ここから先は「双面」のあらすじ)
若松とお組が殺された野分姫の弔いをしていると、お組にそっくりな女がやってきます。
実はその女は、「法界坊」と「野分姫」二人の怨念が一つになった怨霊で、お組に襲い掛かり・・・。

by t0k0san | 2009-09-23 14:30 | お芝居、コンサート

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